皆さんは、振り返るのも嫌なほどの失敗や苦い経験をお持ちでしょうか?最近ではそのような過去の経験を”黒歴史“なんて表現するそうです。黒く塗りつぶして消してしまいたいほどの体験という意味でしょう。気持ちはすごくよく分かります。
でも、そもそも私たちは、なぜ消してしまおうとするのでしょうか?その理由を突き詰めて考えていくと、やはりそこには、私たちの思いの中に「自分が一番かわいいから」とか「認めてしまうと、自分の思い描く自分とは違ってしまうから」などの理由が思いつきます。ただ、事実は事実ですから、自分の中で受け止めなければ、最終的にはいつまでも心が晴れないというのが現実でありましょう。
私は、”お念仏の教え“とは、そんな私たちに対して、事実を事実として受け止め、苦しみから解放する道筋(方法)を教えてくれていると思います。
なにか”お念仏の教え“と聞くと、口に「南無阿弥陀仏」と唱える行為を言うのだという認識の方もいるかもしれませんが、必ずしもその行動自体をいうのではないと思います。お念仏を申すことをとおして、自分自身を支え、応援してくれているあらゆるはたらきに気づいていくことが”お念仏の教え“の本質なのだと思います。自分の身の回りを見つめ、振り返り、今まで身近すぎて見過ごしてきた私を支え、応援してくれているものに一つずつ気づいていくこと。そのことを”お念仏の教え“と言うのだと思います。
”お念仏の教え“は、何も姿勢を正して、精神を集中してやらなければならないという堅苦しいものでもありません。何か作業をしながらでも、「いつでも」、「どこでも」「誰でも」出来ることなのでしょう。
ただ、私たちにとって唯一難しいのは、そのことを継続して続けることなのではないか?だからこそ、”お念仏の教え“では、口に「南無阿弥陀仏」と唱えて、その大切さをつねに肝に命じて、忘れないように続けることを説くのではないかと思うのです。
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