年頭のご挨拶~本年もよろしくお願い申し上げます~

 テレビを見ていると、今年の出来事において注目されるイベントの一つに、1月に予定されているトランプ氏のアメリカ大統領への就任が上げられます。トランプ氏は、過激な発言と行動でたびたび話題になり、実際に大統領に就任したらどのような政治を行うのか?大きな関心を集めています。

 この話題を聞くと、私は、仏教の教えの『自利利他円満』(ジリリタエンマン)という言葉を思い出します。この言葉は、私たちに、自分の利益(自利)と他人の利益(利他)が両方そろって、はじめて満足(円満)が成り立つのだという世の中の道理を教えてくれます。

 トランプ氏の政治姿勢は「アメリカファースト」と言われ、自国の経済の立て直しを最優先にして、国際社会への関与を控える政策を実行するだろうと言われています。

 ただ、『自利利他円満』の道理から考えれば、アメリカが豊かになるためには、周りの国々も豊かにならないとアメリカの豊かさも実現しないということではないか?

 特に昨今は、グローバル化(国際化)が進み、環境問題など一国の取り組みだけでは解決しない問題が数多くあります。自国の利益を優先することで、他国との軋轢(アツレキ)を生むあり方がエスカレートすれば、新たな紛争を引き起こし、紛争が難民を生み出し、貧困と格差社会へと導いていく。私たちは、自分の内にある欲望を満たすことに一生懸命になればなるほど、人間として大切な「他の”いのち“を思いやる心」を忘れがちになります。はて?一国のみの豊かさとは成立するのでしょうか?

 そんな私に、15年ほど前に話題になった「佐賀のがばいばあちゃん」が残した以下の言葉はとても大切なことを教えてくれています。


「小さな幸せを 大きく感じることが、本当の幸せ」


 この言葉の「小さな幸せ」とは、私たちが身近すぎて、あたりまえになり、見過ごしているほど小さな幸せです。その”小さな幸せ“を何気ない日常の生活の中で発見することが、人としての思いやりのココロを育み、本当の幸せへと導いてくれるのだと。

 他に打ち勝ち、何か新しいものを獲得して感じる幸せもあるでしょうが、上記の言葉が語るように、自分の足元に今すでにある幸せを感じる視点も大切なのだと思います。

~本年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます~

(釋義仁)

※下記写真は、2022年10月5日午後5時半ごろに撮影したものです。

皆福寺

創建800年 皆福寺 それは、 先人の記憶・思い・願いをとどめる場所 そして、その場所は、 今を生きる私たちの活力を得る場となる ~月に一度は、お寺で心の洗濯を!~