「ONE TEAM(ワンチーム)」それは、仏教で言う「浄土」の世界?

『人も草木も虫も 同じものは一つもないおなじでなくて みな光る』


冒頭の言葉は、お念仏の教えを大切にされた詩人・榎本栄一さん(一九〇三~一九八八)の言葉です。榎本さんは、どこにでもある日常の光景を、ご自身の実感をとおして、難しい仏教用語を使わず表現した作品を多く残されました。

 ちょうど年末、毎年恒例の流行語大賞が発表され、2019(令和元)年は、「ONE TEAM(ワンチーム)」という言葉が大賞に選ばれました。昨年は、日本でラグビーのワールドカップが開催され、日本代表の活躍もあり、大いに盛り上がりました。その日本代表のチームスローガンが「ONE TEAM(ワンチーム)」です。

 私も今まで知らなかったのですが、ラグビーという競技は、1チーム15名のうち、足の速い人、体格のいい人、蹴るのが上手な人など、異なる特徴の人がバランスよく集まり、ひとり一人が連帯感を持って、はじめて強いチームとなるスポーツだそうです。昨年のワールドカップが盛り上がったのも、それぞれ異なる個性を持った選手がチーム一丸となって挑む姿にみんなが感動したからでしょう。

 このことは、ラグビーというスポーツを通じて、私達が常日頃、意識している、していないに関わらず皆が求めている世界観を教えてくれていると思います。

 人間、人それぞれ、顔の形や性格、考え方は、それぞれみんな違います。違うけれども、お互いの違いを認め合い、それぞれが輝いていける世界を常に求めている。求めているからこそ、その姿を目の当たりにした時、そこに感動を呼ぶのでしょう。

 冒頭の榎本さんの言葉は、流行語となった「ONE TEAM(ワンチーム)」の精神をさらに深め、そのことは、人間同士のみならず、草も木も虫も生きとし生けるもの全て関係において成り立つと教えてくれている言葉であると思います。

 そして、その世界観を仏教では、「浄土(ジョウド)」と言うのだと思います。

皆福寺

創建800年 皆福寺 それは、 先人の記憶・思い・願いをとどめる場所 そして、その場所は、 今を生きる私たちの活力を得る場となる ~月に一度は、お寺で心の洗濯を!~