☆お念仏の救いとは何ですか?~『悟る』ということ~

   よく、「お念仏の救いとは何ですか?」という趣旨の質問を受けることがあります。そんな時、私は、あえて「お念仏の教えは仏教ですので、救いを求めるのではなく、悟りを求めます」と答えるようにしています。

 ”救い“と言う言葉は、お経の中にも多々出てくる言葉ですが、どうしても、受け取る私達の方が、”救い“と聞くと、その背後に「ご利益」ということをイメージしてしまいがちです。ですから、あえて、救いという言葉のイメージから少し離れていただくために、 ”悟りを求めます“と答えるのです。

   ”悟り“と聞くと、言葉は知っているが、具体的にと聞かれると、漠然としていて、はっきりしない言葉なのではないでしょうか?

 この ”悟り“という言葉について、私どもの大先輩が、分かりやすく「頭と体が一致すること」と教えてくださいました。

    この表現で言う「頭」とは、自分の思いや願いを指します。また、「体」で表現されるものは「老・病・死」に代表される身(ミ)の事実を指します。つまり、”悟り“とは、自分の思いと、身の事実(老いる・病気になる・死を迎える)が一致することを言うのです。

   私達の生活を振り返ってみますと、老いることや病気にかかることをなるべく遠ざけたいと願って生きています。ゆえに、身の事実を自分の願いに近づけようとします。そして、その願いは、医療の発達や技術革新をもたらしました。

   一方、お念仏の教えは、身の事実を深く教えてくれます。私達の思い(願い)を破り、身の事実を深く自覚させて、”悟り“に導こうとするのです。

 私達に一人ひとりの身の事実を明らかにし、苦労の多い世の中を、生き抜いていける活力を与えてくれる、それがお念仏の教えの目指す”悟り“(救い)なのだろうと受け取っています。

皆福寺

創建800年 皆福寺 それは、 先人の記憶・思い・願いをとどめる場所 そして、その場所は、 今を生きる私たちの活力を得る場となる ~月に一度は、お寺で心の洗濯を!~