『報恩講』とは? ~恩を知り、その恩に報いる仏事~

 『報恩講』とは文字どおり、「恩を知り、その恩に報(ムク)いる」ための仏事です。

 この「恩」という感情は、人に何かしてもらった時にわき上がる感謝の気持ちです。この気持ちは、人が生きていく上で、常に気づいていかなければならない大切な感情であります。しかし、私たちの普段の生活の中では、気づかずに過ごしてしまっていることが多々あるのではないでしょうか。

 ある人生の先輩は、そのことを「畳の心」として次のように教えてくださっています。

  私たちは他人のことをあれこれ批判するけれども、私たちはいつもどこに座っているのでしょう。それは畳の上です。畳は良し悪しをいわず、誰をも支えています。そのことに目を向けてください。

 「恩を知る」とは、この「畳の心」に表現されているように、多くの人たちに助けられて生きていることに気づくというということなのです。

 念仏総長と言われた有名な念仏者である暁烏敏(アケガラスハヤ)さんは『報恩講』の案内状に添える言葉の中で次のような言葉を残しておられます。

  私どもの生活は恩をうくる(受ける)生活であると同時に、恩に報ゆる(報いる)生活である。このことを教えてくださったのが親鸞聖人である。

 長年、親鸞聖人の御命日を(11月28日)縁として、『報恩講』を勤めてきた歴史とは、親鸞聖人の教えによって、生きることが大いなるご恩の中にあることを気づかせていただいてきた歩みなのでしょう。

『報恩講』とは、私たちが支えられて生きていることを見つめる(恩を知る)仏事であると同時に、そのことを後生に伝える(恩に報いる)仏事でもあると了解します。

皆福寺

創建800年 皆福寺 それは、 先人の記憶・思い・願いをとどめる場所 そして、その場所は、 今を生きる私たちの活力を得る場となる ~月に一度は、お寺で心の洗濯を!~